物損事故から人身事故へ切り替える方法やメリットを解説
交通事故直後は物損事故として警察に届け出たものの、あとになって身体に痛みが出てきた場合には、人身事故に切り替えて補償を請求することができます。
この記事では、物損事故で届け出した後に、人身事故へ切り替える方法やメリットについて解説します。
物損事故と人身事故の違いとは
交通事故には、物損事故と人身事故の2種類があります。
物損事故は、車や建物、品物、電柱など、「もの」にしか被害が生じない交通事故です。
一方、人身事故は、「ひと」が怪我を負ったり死亡する交通事故のことです。
明らかに人身事故なのに、物損事故で届け出ると、任意保険での補償の範囲や損害賠償額の幅などさまざまな点で不利益を被る可能性があります。
物損事故と人身事故の補償についての違いは以下の通りです。
| 物損事故 | 人身事故 |
補償対象 | 車両・建物などの物的損害 | 人の怪我・死亡による損害 |
損害賠償 | 修理費など実費のみ | 治療費・慰謝料・休業補償など幅広い |
適用される任意保険 | 対物賠償保険に加入している場合に限る | 対人賠償保険・人身損害保険 |
慰謝料の有無 | なし | あり |
物損事故から人身事故へ切り替える方法
物損事故から人身事故へ切り替える方法は以下のとおりです。
- 病院を受診時に医師に診断書を作成してもらう
- 警察に診断書を持参し、物損事故から人身事故への切り替え申請を行う
- 実況見分に立ち会い実況見分調書を作成
- 自動車安全運転センターで、交通事故証明書を取得する
切り替え申請を行いたい場合は、事故から10日をめどに行う必要があります。
事故からあまりに時間が経過していると、警察に切り替え申請を拒否される可能性があります。
警察に切り替え申請を拒否された場合は、「人身事故証明書入手不能理由書」を用意する方用意する方法があり、この理由書は「自賠責保険に被害者請求する際」と「任意保険会社が自賠責保険に請求する際」に使います。
人身事故証明書入手不能理由書を提出することで、警察においては物損事故の扱いでも、保険会社には人身事故として取り扱ってもらえる可能性があります。
物損事故から人身事故へ切り替えるメリットとは
物損事故から人身事故へ切り替えるメリットは、以下の通りです。
- 慰謝料の請求が可能になる
- 治療費や休業補償が適用される
- 後遺障害等級に基づく賠償
- 自賠責保険の適用
人身事故として認定してもらうことで、これらの賠償などを受けられる可能性があるので、必要な場合には適切に切り替えを行うことが大切です。
まとめ
一度、物損事故として届け出たあとに身体に痛みが出た場合でも、適切な手続きを踏めば人身事故に切り替えることができます。
人身事故に切り替えることで、損害賠償の範囲が広がり、事故の状況が正しく記録されるなどのメリットがあります。
事故後に首や腰などに痛みが出たら、速やかに病院を受診し、必要な書類を揃えて警察に申請することが大切です。
適切な対処方法の判断が難しい場合や、保険会社との交渉に不安がある場合には、お気軽に弁護士事務所にご相談ください。
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湯浅 恭吉Yasuyoshi Yuasa
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- 所属団体
-
- 千葉県弁護士会
- 経歴
-
- 渋谷教育学園幕張高等学校 卒業
- 慶應義塾大学経済学部経済学科 卒業
- 東北大学法科大学院 卒業
- 平成20年 弁護士登録
- 平成29年 千葉成田法律事務所設立
- 平成31年度 千葉県弁護士会常議員
- 平成31年度~現在 千葉地方裁判所・八日市場簡易裁判所 民事調停委員
- 令和3年度 千葉地方裁判所・八日市場簡易裁判所 司法委員