任意売却

不動産トラブルの中には、住宅ローンが支払えなくなってしまったという場面も想定されます。
本ホームページでは住宅ローンが支払えなくなった場合に取ることのできる措置の一つとして、任意整理という手段について解説をさせていただきます。

 

◆任意売却とは(競売との違いについても)
任意売却とは、住宅ローン等の借入金の返済ができなくなった時に、売却後も住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の合意を得て売却する方法です。

 

住宅ローンを滞納、延滞すると、債務者はローンを分割で返済する権利を喪失し、お金を貸している金融機関は一括で返済を求めてきます。この際に一括返済ができない場合には、金融機関は担保となっている自宅を強制的に売却し、その売却金の中から返済に充当していきます。
これがいわゆる競売と呼ばれるものです。

 

競売は強制的に売却されるのに対し、任意売却とは名前の通り、債務者が自身の意思で売却をするので、明け渡しの時期なども債務者が決めることができます。

 

◆任意売却のメリットとデメリット
●メリット
①市場相場に近い価格で売却ができる
任意売却とは競売のような強制的な取引ではなく、通常の不動産取引と同様の方法で売却するため、市場価格に近い価格で売却をすることが可能です。
競売の場合には、金融機関が債権回収のために即時に売却先を探してしまうため、債務者に圧倒的に不利な条件で売却されてしまうことは少なくありません。
しかし、任意売却の場合であれば、適正価格で購入をしてくれる購入者をじっくり探すことができるため、競売よりも高い市場価格で売却をすることが可能となっています。

 

②残債の分割返済が可能
任意売却では、自宅売却後も残ってしまった債務(残債務)は、債務者と債権者で協議をして、無理のない範囲内で分割返済をすることができます。現在の収入や生活状況を十分考慮の上で現実的な返済方法を話し合い、対応をしてくれます。

 

③今の家に住み続けることができる可能性もある
任意売却は通常の不動産取引と同様に購入者を選択することができます。そのため身内や投資家に自宅を買い取ってもらい、家賃を支払うことでそのまま自宅に賃貸戸建として住み続けるという方法を取ることもできます。

 

●デメリット
①住宅ローン滞納3ヶ月以上で信用情報機関に掲載される可能性がある
任意売却に限ったものではありませんが、住宅ローンを3ヶ月以上滞納した場合には信用情報機関に登録される可能性があります。
信用情報機関に登録されてしまうと、7年間程度は金融機関からの借入や分割払いができなくなるなどのデメリットが発生します。

 

②売買価格と債権者の求める金額の差が大きいと折り合いがつかないこともある
任意売却は市場価格に近い金額で売却を行うことができるというメリットがあるというお話をしました。しかし、残債と市場価格の差の開きが大きい場合には金融機関から任意売却への同意が得られないこともあります。

 

◆任意売却の流れ
①価格査定とローン残高の確認
任意売却をする際には、売却価格よりもローンの残額が上回る「オーバーローン」と売却価格よりもローンの残額を下回る「アンダーローン」という単語が出てきます。

 

任意売却はオーバーローンに該当する状態です。

 

オーバーローンかアンダーローンかは、査定を行うことで把握することができます。
注意すべき点は、不動産会社は売却の仲介契約を結ぶために査定額をやや高めにしたり、売却が可能な前提で話を進めることがあるという点です。

 

②債権者に任意売却することへの同意を得る
オーバーローンとなり、任意売却になる見込みがある場合には、債権者に相談をし、任意売却を行うことの了承を得る必要があります。
債権者は債権回収のために高い値段での売却を希望しますが、価格が高すぎると売り時を逃してしまう可能性もあります。

 

③売却活動を開始する
任意売却の売却活動は、通常の売却と中身に大きな違いはありません。ただし、任意売却には期限があり、かつ自宅に住みながらの売却活動となるため、内覧希望者への対応をスムーズにすることが求められます。

 

④売買契約、決済・引き渡し
売買契約は通常の売却と同様の方法で締結されます。ここでは債権者との細かい条件のすり合わせも気にしつつ行わなければなりません。
また、スムーズに引き渡しをするために、売却代金の一部を引越し代として融通してもらうなどの取り決め事項を明確にしておくことをおすすめいたします。

 

⑤残債への対応
任意売却はローンが無くなる訳ではありません。上記で説明したとおり、オーバーローンの状態となっているため、必ず残債があります。
任意売却のメリットでもお話をしましたが、残債については債権者と話し合いの上で分割返済をしていきます。
相場としては月に5,000から30,000円程度の返済となります。

 

◆まとめ
任意売却は手間のかかる手続きですが、自己破産をすることなく、返済をしていくことができるため、債務者に大きな利点があります。
任意売却をお考えの方は債務を滞納する前に早めに手続きを始めることが重要です。

 

千葉成田法律事務所では、交通事故、離婚、相続、借金、刑事といった一般民事事件から契約書の作成や債権回収、倒産などの企業法務まで幅広く対応しております。
任意売却をお考えの方はお気軽にご相談ください。

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湯浅 恭吉Yasuyoshi Yuasa

依頼者様のお話をじっくりとお聞きし、最適な解決策をご提案します。

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個人・法人の幅広い法律問題に対応しています。

所属団体
  • 千葉県弁護士会
経歴
  • 渋谷教育学園幕張高等学校 卒業
  • 慶應義塾大学経済学部経済学科 卒業
  • 東北大学法科大学院 卒業
  • 平成20年 弁護士登録
  • 平成29年 千葉成田法律事務所設立
  • 平成31年度 千葉県弁護士会常議員
  • 平成31年度~現在 千葉地方裁判所・八日市場簡易裁判所 民事調停委員
  • 令和3年度 千葉地方裁判所・八日市場簡易裁判所 司法委員

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名称 千葉成田法律事務所
資格者 湯浅 恭吉 (ユアサ ヤスヨシ)
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