境界線トラブル
不動産トラブルの中でも、境界線の範囲で隣の住居の方と揉めたという事例は典型的なものとなっています。
実際に不動産トラブルの解決方法をご紹介する前に「境界」とは何かについて解説をしていきたいと思います。
◆境界線とは
境界線とは「筆界」と「所有権界」の2つに分けることができます。
筆界とは、公法上の境界線のことを指し、当事者双方の合意によってその位置を変更することができないものです。
当事者双方の合意によって変更ができないということは、筆界の位置も変更できないのかというと、そうではありません。
法務局に対し、分筆登記・合筆登記の申請を行うことで変更をすることができます。
所有権界は、私法上の境界線のことを指し、当事者双方の合意によってその位置の変更をすることができます。
筆界と所有権界というものは本来イコールであるべきものですが、当事者間で境界線の位置の認識に関して相違があり、合意によって所有権界が変更されるということがあり得ます。
◆対処法
筆界に関しては法務局に申請をするものであり、基本的に筆界の位置で当事者間に争いが起こることは考えられず、もっぱら所有権界の位置で紛争が起こり得ます。
実際にトラブルが発生した場合には、どのように対処するのが良いかご紹介していきます。
●話し合いによる解決
話し合いによって解決する方法が費用もかからないことから、もっとも望ましい方法と言えるでしょう。
ただし、冷静に話し合いをすることが見込めないような場合には他の対処法をとるしかないでしょう。
●土地家屋調査士への依頼
土地家屋調査士は筆界の位置を明らかにする業務を専門としている士業です。現地の境界標やブロック塀等の現況を測量し、それらの資料と測量データを照らし合わせて筆界を導き出します。筆界を明確にすることで筆界の位置で両者の合意が得られれば、筆界=所有権界となります。
●ADR(裁判外紛争解決手続)やその他制度・訴訟の利用
①ADR
筆界・所有権界の問題について、弁護士・土地家屋調査士が当事者の間に入り、調停による解決を目指すものです。
訴訟と比較すると費用を抑えることができますが、相手方が調停に応じない場合には不成立となってしまいます。
②筆界特定制度
筆界特定制度とは、筆界特定登記官が公法上の境界である筆界の位置を現地において明らかにするというものです。
この結果に不服がある場合には、筆界確定訴訟の提起をすることができ、その判決はこの制度の結果に優先します。
③筆界確定訴訟・所有権界確定訴訟
裁判により筆界や所有権界が確定しますが、費用や期間が上記2つと比較するとかなりかかってしまいます。
◆構造物等の越境トラブル
境界線トラブルは、境界線の位置に認識の相違があったという場合だけでなく、構造物が境界を超えてしまっているという場合もあります。
具体的には、屋根や軒などの建物の一部が、隣の家の敷地まで出てしまっていたり、ブロック塀が経年により傾き越境してしまっている、境界付近に植えた木の枝が伸びてしまっている、などといった事例が考えられます。
◆越境トラブルの対処法
●越境物を移動・撤去する
エアコンの室外機や切除可能な木の枝などは容易にご自身で移動・撤去をすることが可能なので、速やかに対処することで越境状態を解消することが望ましいでしょう。
●越境についての覚書を交わす
屋根やブロック塀などの問題は、容易に対処することが難しく、費用もかかってしまうため、越境についての覚書を交わすことをおすすめします。
覚書とは「将来、越境状態を解消するために建物や塀の建て替えをするため、それまでは受任してください。」といった内容のものになります。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか?筆界に関するトラブルは非常に複雑で費用と時間がかかってしまうことが多くなっています。
千葉成田法律事務所では、交通事故、離婚、相続、借金、刑事といった一般民事事件から契約書の作成や債権回収、倒産などの企業法務まで幅広く対応しております。
境界線トラブルでお困りの方はお気軽に一度ご相談ください。
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湯浅 恭吉Yasuyoshi Yuasa
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- 所属団体
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- 千葉県弁護士会
- 経歴
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- 渋谷教育学園幕張高等学校 卒業
- 慶應義塾大学経済学部経済学科 卒業
- 東北大学法科大学院 卒業
- 平成20年 弁護士登録
- 平成29年 千葉成田法律事務所設立
- 平成31年度 千葉県弁護士会常議員
- 平成31年度~現在 千葉地方裁判所・八日市場簡易裁判所 民事調停委員
- 令和3年度 千葉地方裁判所・八日市場簡易裁判所 司法委員